『知覚と運動は一体的に高めて行くべき…』
【カイロこまば通信】

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テーマ:知覚と運動は一体的に高めて行くべき…

末梢からの求心性情報は運動プログラミングに欠かせません。知覚と運動、それらを同時にトレーニングして行くことが必要となるのですが、求心性情報の中でも固有感覚は大切で、それをなるべく左右でバランスさせておくことはトレーニングの前段階として有益です。

今回は身体の末梢からの求心性情報が中枢での運動プログラミングに関わるということをもう一度認識して頂きたく、『知覚と運動は一体的に高めて行くべき…』というテーマにしました。

神経系は脳・脊髄側の中枢神経と身体各部とのやり取りをする末梢神経に分かれますが、末梢神経は体性神経と自律神経に、体性神経は感覚神経と運動神経に分類されます。ちなみに、末梢からの感覚情報を中枢に上げている感覚神経は求心性神経であり、身体を動かす命令を中枢から伝える運動神経は遠心性神経となります。働きという観点から分けてはいますが、相互に影響しあっているということは反射(反射弓…)を考えて頂ければ納得して頂けると思います。

反射が存在しないと身体を適切に動かすことは出来ませんから、運動や筋肉の活動には求心性の情報が欠かせないのです(筋肉の収縮の調整にも筋紡錘やゴルジ腱器官からの求心性情報が必要です…)。ただ、そのような反射だけでなく、運動のプログラミング、パフォーマンス向上という観点からも求心性情報は欠かせないという意識の高まりから、トレーニングの中で知覚運動が求められるようになっているのです。

このような知覚を意識した運動が求められるは、高度なパフォーマンスが求められる競技スポーツだけではありません。外傷後や分娩後の筋アンバランスや、高齢者の転倒予防、関節の不安定性といった問題だけでなく、慢性の腰背部痛・頚部痛でも大切と言われているのです。特定の問題に対する筋アンバランス改善という視点だけでなく、姿勢や歩行といった生活上のベースとなる活動に影響を与えることを狙い、少しずつ生活を改善させて行くという中・長期的な視点から取り組んで行かなければならない問題とも言えるのです。

運動学習には2つの段階があります。新しい運動に取り組む場合、大脳皮質が関与しながら新しい動作をプログラミングさせて習得します。この段階が第1段階になるのですが、複数のシナプスを経由させながら大脳を使いながらなので、効率という点では悪くなります。この回路を単純化させて最短経路を作ることが第2段階なのですが、大脳皮質の関与を減らすことで速度が増します。ただ、いったん定着すると変更することが難しくなるという短所もあるので、的確なトレーニング方法で実施することが求められます。外傷の危険がある時、損傷を防ぐために筋肉の素早い収縮によって関節を保護することが必要なのですが、これができるためには第2段階に到達している必要があります(どのようにと考えることのない瞬発的な動作ですから…)

この運動学習には固有感覚を刺激することがポイントとなります。固有感覚とは、身体の位置や運動状態、かかっている負荷を筋肉や関節から中枢に伝えている求心性情報ですが、その情報がなければどの方向にどの程度動かすかの指令を出せないのです。この固有感覚をキャッチする受容器は足の裏(足底)、骨盤、頚に多く分布していると言われております。

そう考えるとカイロプラクティックが行う背骨や骨盤への施術は、左右でバランスされた適切な固有感覚情報を中枢に送るための前段階としても欠かせないプロセスと言えます。関節や筋肉のアンバランスを可能な範囲で補正させておくことで、その後の知覚運動をより効果的なものに高めるのです(左右から上がってくる固有感覚情報をバランスさせることは脳に上がってくる神経情報の偏りから生じる機能神経学から見た問題〔自律神経系の症状との関連も…〕への対処としても有用です…)

本来上がるべき神経情報が上がってこなくなることも運動プログラミングを崩す要因になります。その点からも、普段の生活習慣に関わる行動(例えば座り方や歩き方…)がもたらす影響はとても大きいと言えます。特に固有感覚受容器が多く分布する足は影響が大きく、知覚運動を学習して行くために欠かせない部位と言えるかもしれません。その辺りのお話しは次回に委ねたいと思います。

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