『生化学的レベルでの炎症(第3回)…糖質』
【カイロこまば通信】

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テーマ:生化学的レベルでの炎症(第3回)…糖質

生化学的レベルでの炎症をテーマとして今回が3回目となります。今回からは栄養素に落とし込んで炎症との関わりを紹介して行く予定ですが、お話したい内容からたびたびテーマから脱線するかもしれません。まとめるのが難しい内容でもあり、その点ご了承ください。

今回からは生化学的レベルでの炎症を栄養素に関連させてお話しますが、今回は血糖値に関わる糖質についてです(前回、炭水化物についてと書きましたが、スペースの都合もあって糖質に絞り込みます。ちなみに、炭水化物≒糖質+食物繊維です…)。なお、糖質がどのように消化・吸収されるかといったお話はここでは省略して、血液中に取り込まれた後の炎症との関係についてお話します。

血液中に入ったブドウ糖は血糖値と言われ、基準値を超えると糖尿病と診断されます。糖尿病には、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが膵臓から分泌されなくなるⅠ型と、インスリンの分泌が十分でなかったりインスリンが作用しなかったりインスリン抵抗性…筋肉や肝臓といった臓器でのインスリンへの感受性が低下し、インスリンがとらえたブドウ糖を血液中から減らし難くなっている状態…)といった原因で起こるⅡ型があります。糖尿病を患っている日本人のほとんどがⅡ型であること、Ⅱ型は日常生活習慣の関わりも大きいことから、食生活や運動習慣を改善させてⅡ型糖尿病を予防しましょうといったお話はよく聞かれると思いますし、インスリン抵抗性といった言葉も耳にされることは多いのではないでしょうか。

次にインスリン抵抗性と炎症との関わりです。糖尿病には肥満内臓脂肪といったものが関わることはご存知だと思いますが、それらは食事から過剰となりがちな血液中の脂肪や糖質を吸収した脂肪細胞(エネルギーとして蓄えます…)が肥大化したり、細胞数を増やしたりした結果です。この脂肪細胞には、エネルギーが必要になった際に脂肪を分離させて全身に供給したり、体温を維持したり、女性ホルモンであるエストロゲンを前駆体から変換したりといった重要な働きがあります。更には、巨大な内分泌器官としての役割も担っており、分泌される生理活性物質(アディポサイトカイン…)は身体の各種調節に関わっています(その中のアディポネクチンという物質には炎症を抑える作用があります…)

なのに…肥大化や増えすぎてしまうと、悪者に変わってしまうのです。増えすぎた脂肪細胞に十分な酸素供給が行われなくなると死ぬ脂肪細胞が出てくるのですが、それを処理するために免疫細胞が集まってきます。これらの細胞から分泌される炎症性の物質は血液中でインスリン受容体の活動を阻害しますので、インスリン抵抗性を引き起こす原因となるのです。一方、インスリン抵抗性自体も、炎症を引き起こす作用があるため、それらは相互に強め合ってしまい、慢性炎症の悪循環に引き込まれます。

前回もお話しましたが、炎症から免疫反応が引き起こされると、その過程で侵害刺激が生じて脳に伝わります。その刺激が過度になると自律神経系の働きに影響を及ぼすことがあるのです。であれば、糖尿病になる・ならないにかかわらず、普段から食事内容に気を付けてインスリン抵抗性を引き起こさないよう気をつけるべきなのです。

合わせて注意が必要なのが、機能性低血糖です。最近テレビでは血糖値スパイクと言われたりもしていますが、過剰な糖質を摂取すると、急激に血糖値が上昇し、それを抑え込むために膵臓からインスリンが大量に放出され、その作用で血糖値が急降下します。急激な降下は低血糖状態を作り出し、集中力の低下や急激な眠気といった症状を引き起こしますし、この急上昇・急降下が一日に何度も繰り返されることが続くと血糖調節障害が引き起こされ、慢性疲労をはじめとする各種症状で悩まされることになりかねないのです。

食後の血糖値の動きから機能性低血糖症状をイメージしてもらうためのイラスト

ちなみに、インスリンを大量に放出するこの状態もまた、インスリン抵抗性の原因になりますから、身体の中の炎症を助長しているかもしれません。この機能性低血糖は食事が糖質に偏ることで引き起こされますので、おやつに食べる物も含めて、最近の食生活を見直してみて、思い当たる方は食生活の改善を検討されることをお勧めします。

最近の欧米化した食事内容だと糖質の過剰摂取は起こりやすく、インスリン抵抗性や機能性低血糖が生じている可能性は否定できません。もちろん気にし過ぎるのもよくないのですが、この機会に少し見直されてみてはいかがでしょうか。

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