『肩関節の動きに関わる肩甲上腕リズムとは…』
【カイロこまば通信】

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テーマ:肩関節の動きに関わる肩甲上腕リズムとは…

腕を持ち上げる際、肩関節では複雑な動きをしています。それは上腕骨だけでなく、肩甲骨の動きが求められるからです。この上腕骨と肩甲骨の同期をとった動きにはある程度一定の法則(リズム)があるのですが、いつの間にか崩れていることも…。

ここ何回か肩関節に関わるシリーズものになっているのですが、今回も続けて行きたいと思います。今回のテーマは、肩甲上腕リズムです。

「腕はどこで動いていますか?」という質問をされたとして、多くの方は「肩関節で…」と回答されると思います。

もちろん正しいのですが、肩関節自体のポジションが移動しないと本来の腕の可動性は確保できないということをご存知でしょうか。

肩関節は腕にある上腕骨と背中にある肩甲骨とで構成される関節なのですが、腕を天井に向けて挙上させた場合(180度まで腕を上げた状態…)、上腕骨だけの動きでは2/3程度まで(概ね120度…)しか上げられないのです。残りの1/3は背中にある肩甲骨が回る動きをして肩関節面を上に向けることで確保されます。つまり、腕の動きは、肩関節だけでなく、肩甲骨が同期をとって動くことが求められるのです。この動きを肩甲上腕リズムと言います。

肩甲上腕リズムを紹介するイラスト

肩甲骨が動き出すタイミングも重要です。腕を外側から回してくる時(外転からの挙上…)と、前側から持ち上げる時(屈曲からの挙上…)で異なります。屈曲時は腕を下げた状態から60度ほど動いたところで動き出しますが、外転時は30度ほど動いたところからです。

もちろん個体差があるものですが、この動き自体は筋肉が作っています。なので、筋バランスが崩れると、肩甲骨の動きが崩れ、肩関節の可動域が制限されることになりかねません。

例えば、腕を180度まで上げられない方(立った状態で腕を挙げてみてください。天井方向にしっかりとあがっていますか?耳につくぐらいまであがっていますか?…)、もしかしたら肩甲骨がお辞儀をするように前傾していて、肩関節面を上に向けられないためかもしれません(前傾を作る筋肉の過緊張が、肩甲骨を回す働きを持つ筋肉を抑制しているかもしれないのです…)

では、このリズムが崩れると、どういう問題が生じるのでしょうか。

色々なケースが考えられますが、ここでは肩甲骨が1/3まで十分に回ってこないパターンを考えてみたいと思います。

このケースでは、腕は概ね上まであがっているけれど、肩甲上腕リズムをチェックすると肩甲骨は十分に回っておらず、上腕骨がそれを補うように過剰に動いているだけかもしれません。肩甲骨の動き出しのタイミングも遅くなっている場合が多く、肩甲骨を支える筋肉に過緊張があったり、動かす筋肉に弱化があったりといった筋バランスの問題が潜んでいる可能性があります。

どちらの場合にしろ、肩甲骨が動いてこない分、上腕骨は過剰に動く必要があり(腕を90度程度まで持ち上げる際にも・・・)関節包や靭帯といった肩関節周辺組織に負荷をかけて微小損傷が生じたり、前々回にお話したインピンジメントが生じたりといった問題が先々に出てくるかもしれません(もちろん、必ずではないですが…)

肩甲上腕リズムは無意識に同期されているもので、肩甲骨が十分に回ってこなくても日常生活上ほとんど気になりません。その動かし方が習慣化されてしまっている中で、時限爆弾式に微小損傷が蓄積され、ちょっとした負荷がかかった際に痛み出すということになりかねないのです。

「今後は肩甲上腕リズムを意識して腕を動かすようにします…」という訳にはいかないものなので、まずは肩甲骨周囲の筋バランスを整えておくことが求められます。ただ、肩甲骨の動きに関わる筋肉は肩こりに関わる筋肉でもありますので、ずっと座っていたり、細かな作業をしていたりするとどうしても出てくるものです。何もせずかたまったままにしておくことは、肩関節の問題を引き起こすリスクにもなりますので、あまりお勧めできません。定期的にこりを改善させておくことが望まれます。

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