『胸郭の傾き…』
【カイロこまば通信】

カイロこまば通信は、2006年11月から当院入口で配布してきたニュースレターです。様々なテーマで健康情報を発信していますので、ぜひご覧ください。順次掲載して行きます!

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テーマ:胸郭の傾き…

今回は胸郭の傾きについてです。解剖学書では胸郭は概ね左右対称にかかれていますが、なかなかその通りにはいかないもので、傾きを持つ傾向にあります。色々な要因がありますが、筋バランスからの影響もその一つとなります。その辺りをお話して行きます。

今回は胸郭の話をもう少し続けてみたいと思います。前回もお話しましたが、胸郭は背骨から左右にのびる肋骨、前側で連結される胸骨によって構成されています。このように書くと左右対称であるように感じますが、きれいな対称にはなかなかなりません

色々な要因が考えられるのですが、立位や座位での重心の置き方、それに伴って肋骨の動きに関わる筋肉に生じるバランスの差異、横隔膜の形状にしても左右で高さに差がありますし、付着部も左右で異なります。胸郭全体が左側方に偏ることが多いといった研究結果もあり、前面にある胸骨も上部が右へ下部が左へといった傾きをもつ傾向にあるそうです(軽度ですが…)。また、横から見た姿勢で考えても、上半身の重心が後ろに偏って猫背になっているような場合、胸骨が後ろに傾く傾向にあります。胸郭は、姿勢や身体の使い方によって変位が生じやすい構造と言えるのです。

ここで、胸郭の動きを整理しておきます。胸郭は上位(第1~6肋骨)と下位(第7~10肋骨)、更には浮遊肋(第11・12肋骨。胸骨との連結がありません…)と分かれて機能しますが、上位と下位の動き(左右同時に動きますが上位と下位で別方向に動きます…)、左右の動き(片側の上位と下位が同調して動きます…)、対角の動き(例えば左上位胸郭と右下位胸郭が同調して動きます…)があります。上述したような傾き(特に胸郭の左側方変位)が強くなると、そのような胸郭の動きを伴いますから、例えば対角の動きが普段の姿勢にも影響してくるといった変化が生じてきて、左上位胸郭の肋骨前端が上方に回旋し、左下位の肋骨前端が下方に回旋する、合わせて右上位が下方に回旋し、右下位が上方に回旋する傾向があります(胸郭の膨らみ方に左右差が生じますが、このような左右差は多くの人に見られます…)。左浮遊肋も、右に比べて後外方に変位しやすいそうです。このような傾向は、関節構造だけでなく、胸郭に動きをつけている筋肉のバランス(筋膜も含めて…)からつくられるとも言えます。それらの筋肉が今どういう状態なのかを筋力検査や動作を通して把握しておくことも、姿勢や呼吸といった機能をキープして行くためのポイントなのです。

では、どのような筋肉が大切なのでしょうか。

もちろん肋間筋といった細かな筋肉も重要ですが、なかなか検査が難しいこともあり、まずは表面の大きな筋肉が対象となります。胸郭背面に付着する脊柱起立筋群、下位胸郭の前面や側面に付着する腹筋群(腹直筋、内・外腹斜筋、腹横筋…)や浮遊肋である第12肋骨に付着する腰方形筋といった胸郭下部に関わる筋肉だけでなく、大胸筋や広背筋、前鋸筋といった肩関節の運動に関わる筋肉も重要です。大胸筋は腕を前に持ち上げる、広背筋は腕を内側や後方に持って行く、前鋸筋は肩甲骨の動きを制御するというように肩や腕の動きで注目されますが、肋骨から腕や肩甲骨に付着している筋肉ですから(肋骨以外にも付着部がある筋肉もありますが…)、その筋肉が収縮すれば肋骨にも動きが生じるのです。つまり、腕の使い方、肩のポジション(姿勢…)に応じて胸郭に変位が生じる可能性があるということなのです。首・頭蓋骨から肋骨に付着している胸鎖乳突筋や斜角筋も同様です。首のポジションも胸郭の変位に関わるのです。

このように書くと、「姿勢が悪いと胸郭が傾いて呼吸が上手く出来なくなるんだ…」、「胸郭に傾きがあってはいけないんだ…」と気にされる方がいらっしゃるかもしれません。ただ、変位は成長や生活に伴ってある程度形成されてくるものですし、症状がない人にも多くみられる傾向なのです。"だからダメだ!"なんてことはないのです

とはいえ、なるべくなら変位が少ない方が望ましいとは言えます。必要なことは、胸郭は年齢に伴って硬くなってくるということを知っておいて、そうならないよう普段から深呼吸をしたり、胸郭周囲の筋肉が縮こまらないよう腕や身体を動かしたりを心掛けておくことなのです。

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