『肩関節の痛みの背後に、上腕骨頭すべり…』
【カイロこまば通信】

カイロこまば通信は、2006年11月から当院入口で配布してきたニュースレターです。様々なテーマで健康情報を発信していますので、ぜひご覧ください。順次掲載して行きます!

カイロプラクティックこまば
【東京都 井の頭線駒場東大前駅すぐ】

03-5454-2335

ご予約はこちらからどうぞ

テーマ:肩関節の痛みの背後に、上腕骨頭すべり…

肩関節の問題は、構成する肩甲骨と上腕骨の位置関係に影響されます。その関係が崩れると、機能障害が引き起こされ、反復的な刺激が損傷となり、その後痛みとなってあらわれる可能性があります。今回は、その要因の一つである上腕骨頭すべりをご紹介します。

今回は上腕骨頭すべりについて紹介します。

ちなみに、上腕骨頭は二の腕にある上腕骨という骨の肩に近い側の末端の構造で、球の形をしています。その骨頭が、肩甲骨の外側にある関節窩に嵌まり込むことで肩甲上腕関節(肩関節…)が構成されています。

ただ、肩甲上腕関節の関節窩は股関節ほど深くなく、関節包や靭帯、筋肉(回旋腱板=ローテーター・カフ筋…前回参照といった柔軟性のある組織によって結び付けられているため、上腕骨頭は前方や上方に押し出されやすい構造と言えます(上腕骨頭すべり…)

上腕骨頭すべりを紹介するイラスト

ただ、上腕骨頭の回旋軸は運動の全般にわたり、関節窩の中心に位置するよう比較的一定していなければなりませんので、上腕骨頭すべりは望ましい状態とは言えません。原因は様々ですが、肩甲骨のポジションやローテーター・カフ筋と表層の筋とのアンバランスといった問題もまた一つの要因となります。

もう少し具体的に説明して行きます。上腕骨頭を収容する肩甲骨関節窩は肩甲骨のポジション(例えば、外側に偏位したり前傾したり…)によって関節窩の開く向きが変わります。「肩甲骨と上腕骨との間の関節だから関節窩の向きが変わってもさほど関係ないのでは…」と思われるかもしれませんが、肩甲骨を介さずに上腕骨に付着している筋肉(大胸筋もその一つ…)もあるので、それらの筋肉に引っ張られて上腕骨が前方に引き出されることもあるのです。

上腕骨頭を関節窩に引き寄せているローテーター・カフ筋(4つ…)の1つ(肩甲下筋…)が弱化し、その他の筋が短縮することで、周囲からの安定力が弱まり、前方に押し出されるといった要因もあります。このようなすべりは、肩関節の動作中により大きく押し出される傾向にあるのですが、関節包の前方組織の柔軟性が後方組織よりも高くなってしまっていることで生じます。この状態は、肩関節が動けば動くたびにすべるということでもあるのです。

上腕骨頭すべりは、徐々にそのポジションに偏位してきますから、すぐに痛みを出すということは考えにくいです。ただ、肩甲上腕関節の機能面(上腕骨頭の回旋軸は関節窩の中心にキープしておきたい…)から考えると、球関節の動きの軸が崩れた状態は、腕を動かすたびにどこかに負荷をかけていることに他なりません。インピンジメント症候群(前回参照…)と同様に、反復的な損傷を組織に蓄積させ、時限爆弾式に痛みが出てくる可能性があるのです。

ここで注意が必要ですが、上腕骨頭すべりは、いつか必ず痛みが出てくるというものではありません。痛みが出てこない方も多いと思います。実際、上腕骨頭すべりが気にされるのは、痛みが出てからだと思います。ただ、五十肩といった肩の痛みも、肩甲骨と上腕骨との間での機能障害ですから、反復的な組織の損傷が生じるリスクは減らしておいた方が良いのは間違いありません。そのためには、肩甲骨のポジションを良い状態に保つこと、肩回りの深部の筋肉(ローテーター・カフ筋…)と表層の筋肉(大胸筋や上腕二頭筋…)とのバランスを整えておくことが求められます。

具体的にどうすれば…というのは正直簡単ではありません。肩甲骨は色々な方向に偏位しますし、弱化筋が潜んでいるかはご自宅では分かりません。ほかの関節のようによく動かしてください(動かさないと関節は硬くなる傾向にあるため…)と言いたいところですが、肩関節の場合は反復的な損傷を引き起こすリスクを高めることになりかねません。なので、一度、肩甲骨のポジションや上腕骨の状態、どのような筋肉が弱化しやすいかといった内容を検査させて頂いて、お話させて頂いた方が良いと思います。ご興味のある方は、ぜひご来院ください。

※バックナンバー一覧はこちら↓

『カイロこまば通信』索引

【参考に、こちらもどうぞ…】

トップページにリンクするボタン