『急性症状、床上安静は2日間が限度です…』
【カイロこまば通信】

カイロこまば通信は、2006年11月から当院入口で配布してきたニュースレターです。様々なテーマで健康情報を発信していますので、ぜひご覧ください。順次掲載して行きます!

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テーマ:急性症状、床上安静は2日間が限度です…

今回は、ぎっくり腰といった急性症状で安静にしていて良いのはいつまでか、それはなぜかといったことをご紹介します。ぎっくり腰になった時の参考にしてください。

今回のテーマは、安静にして寝ていること(以下、床上安静と記述します…)の悪影響についてです。

床上安静をイメージさせる寝た姿勢のイラスト

ぎっくり腰や捻挫といった急激な痛みが生じたとき、無理せず安静にすることは大切です。ただ、痛みが抜けないからとそのまま固定や床上安静を続けると、身体は不使用に対する順応を行い、変化が生じます。それが長期にわたると、慢性症状につながることがあるのです。今回は、そのような問題についてお話します。

カイロプラクティック関連の書物を読んでいると、『急性腰痛後は早期に身体を動かすべき…』、『床上安静はよくない…』といった記述がよく出てきます。それは海外の腰背部痛に対するガイドライン(パリ・タスクフォースやデンマークのガイドラインといったもの…)でも言われていることで、痛みが激しければ2日間までなら痛みの軽減手段として床上安静が勧められるが、3日以上経過した場合は徐々に活動を再開するよう勧めるべきとされています。他の統計でも、『腰痛や坐骨神経痛で7日間床上安静していても、2日間の床上安静を上回る改善は見られない』とされています。

どのような問題が生じるかと言うと、損傷後の長期にわたる固定は損傷組織の疲労耐性の低下につながり、筋肉や靭帯、関節包、骨、神経を衰えさせます(床上安静は、週に10%の筋力低下につながるといった文献も…)。軟部組織の治癒過程は、炎症期、修復期、再構築期の3つの時期を経ますが、炎症は通常損傷から3日後にピークを迎え、炎症期の終わりに近づくと損傷組織を修復するための瘢痕組織をつくる細胞(線維芽細胞…)が増加してきます。この段階から受動あるいは能動運動をはじめないと(もちろん負荷のかからない軽い運動からですが…)、瘢痕組織が弱い組織のままになったり、関節の癒着(関節包組織が縮小し、関節に対する圧縮負荷が増加。長期に渡ると周囲組織の肥厚や軟骨の変性につながります…)が進行したりといった問題が生じ、修復過程が上手く進まなくなります。再構築期は、癒着がはがれながら瘢痕組織が本来のしっかりとした組織に戻って行く過程ですが、固定が長いとより長い期間がかかってしまいますし、戻らない場合もあります(固定以外にも戻らない要因はありますが…)

しっかりとした組織に戻る前に過度な運動を行い、再度外傷を受けたり、反復的な微小損傷を繰り返したりすると、安定性が向上せず慢性的な症状につながりかねません。しかしながら、痛みを怖がって修復過程の組織に適切な負荷をかけてあげないと、組織の強度が回復できず、こちらもまた安定しません。さじ加減になってしまうのですが、適度な運動(繰り返しになりますが、関節に負荷がかからない軽い運動からです…)を損傷後3日経過した段階から始めなければならないのです。激しい痛みのために固定や床上安静を勧められるのは、痛みの軽減のためであって治療のためではありません。治療を本来の組織への回復を目指す行為と捉えるならば、長期の安静はその妨げになってしまうのです。

カイロプラクティックでは、関節の癒着を防ぐためにアジャストメントやモビリゼーションといった方法を用います。これは受動運動に当たるのですが、関節は筋肉の作用を省いた方が効率的に動かせるので、受動運動が望ましいと言えます。とはいっても、自宅で受動運動は難しい…では自分でできる事はないのかと言うとそんな事はなく、自分で行う能動運動もまた効果的です(治療の時だけでなく、1日に何度も行えるのが利点です…)

関節の癒着を進ませないため、周囲の組織に適度な負荷をかけるためには、急性期から自分で行える等尺性収縮運動を始めるべきなのです(等尺性収縮運動とは、抵抗に対して筋肉の長さを変えずに収縮させる運動で、関節は一定の角度のまま動かしません…)。詳しい方法は部位ごとに異なることもあってここで紹介するのは難しいです。また、ずっと等尺性収縮運動を続けていれば良い訳ではなく、徐々に運動を変化させて行かなければなりません。インターネットで調べて頂ければ色々な方法が出てくると思いますが、よく分からないことも多いかと思います。よろしければご相談ください。

カイロこまば通信vol89のイメージ画像

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